演技には二つの種類がある
説明型の演技と体験型の演技
演技には二つの種類があります。
「え?演技に種類なんてあるの?」
はい、あります。
もちろん、シリアス、コメディ、ミュージカル、映像、アニメ、歌舞伎、能といった演技のスタイルの種類ではありません。
演技の種類です。
多くの人は演技と聞くと、「感情を込める」「顔・表情をつくる」「気持ちをつくる」「このセリフはこういう風に言おうとアイディアを出す」「演技の動きに振りつけをする」といったような事を思い浮かべるかもしれません。
日本の演技の約95%はこの演技です。
これを、「説明型の演技」と言います。
読んで字の如く、「台本に書かれている役の状況、心理、人間関係を一生懸命演技を通して説明する演技」です。
形にとことんこだわります。
その最たるものが歌舞伎や京劇。名人になると、手首や首のささいな角度にも非常にこだわります。
型の演技です。
その影響かどうかはわかりませんが、通常の舞台や映像で演技をする人も多くがこの説明型の演技を行います。
この説明型の演技は、「見ていてとてもわかりやすい」という長所があります。
小さい子供でもお年寄りでもよく理解できる演技です。
しかし、短所としては「深くない」「学芸会っぽい」「芝居クサイ」「うそ臭い」と観客に感じさせてしまう事が多々あります。
形だけにこだわるあまり、リアリティが無い「中身の無い演技」になってしまう危険性があります。
何となく形にはなっているけれども、何も伝わってこない演技・・・
そうすると、お客さんはどんどん離れていきます。
一方、体験型の演技。
これはハリウッドをはじめ、世界のトップスターが実践している演技。
つまり役を表現するのではなく、役になる演技。
台本世界を「役として本当に体験する演技」です。
これは見ている観客の心をグッと掴み、深い感動を与えてくれます。
この演技のレッスンは、説明型の演技とは異なります。
説明型の演技に代表される歌舞伎では名人になるのに40年も50年もかかりますが、体験型の演技においては、やり方と専門の訓練さえ積めば、そこまで時間がかからずに誰でも名人並みの演技ができるようになります。その方法はすでに確立されており、数々の名優がたくさん輩出されていることが証拠です。
あなたは、説明型の演技と体験型の演技。
どちらを選びますか?